18.2. 生態学の概要
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生物とそれらを取り巻く環境の相互作用を解明する科学
人間は、他の生物や環境に対して常に関心を持っていた
狩猟採集者のような先史時代の人々は、獲物や食べられる植物が、いつどこで最も多く見つかるかを学ぶ必要があった
飛び抜けた洞察は、現在でもなお、自然を観察しその構造や過程を記録すると言った発見を基盤とするアプローチから得られる
発見科学であれ、仮説に基づく科学であれ、野外調査は生態学の基本 しかし、生態学者は、条件が単純化された制御された条件下の実験を用いることで、仮説の検証も行う
ある生態学者は、数理モデルやコンピュータモデルを考案し、理論的なアプローチをとる
このようなアプローチは野外で実施することが不可能な広域スケールの実験をシミュレーションすることを可能にする
生態学と環境保護
技術革新は、人間が地球上のあらゆる環境に入植することを可能にした
我々の生存は、地球のあらゆる資源に依存し、それらは人間活動によって非常に改変されてきた
地球の気候変動は、最近数十年人々の関心を集めている多くの環境問題の一つにすぎない
我々の産業・農業活動のいくつかは、空気、土壌、水を汚染してきた
多くの動植物を危機に追い込み、すでに一部の種を絶滅させた
生態学という科学は、環境問題を解決するために必要とされる知見を提供する
しかし、環境問題は、価値観や倫理観に基づく意思決定が要求されるので、生態学者だけでは解決できない
相互作用の階層
ある空間に生息するすべての生物によって構成され、ある生物種が生息する生育環境
ある生物は、餌や他の資源をめぐって別の個体と競争し、また、その生息する物理的・化学的環境を変化させる
生物以外の環境からなり、温度、光、水、無機物、空気のような化学的・物理的要素を含む
我々が生物とそれらの環境の間の相互作用を研究する場合、生態学を、階層的に4つのレベルに区分することができる
非生物的環境によって引き起こされた課題に、個体がいかに対処するかといった、進化的な適応に関するもの 生物の分布は、それらが耐えることができる非生物的な条件に制限されている
たとえば、サンショウウオのような両生類の分布は、その皮膚が脱水を防ぐことができないので、一般的に湿気のある環境に限定されている 個体群の密度や成長を規定する要因に注意を注ぐ
ある地理的空間に生息する、同じ種の個体の集合体
捕食や競争のような、種間の相互作用が、いかに群集構造や群衆の成り立ちを規定しているのかについて焦点をあてる
ある空間に生息するすべての生物個体
異なる種の個体群の集合体
エネルギー流や、さまざまな生物・非生物要素の化学的循環を問題にする
ある空間の生物群集に加え、すべての非生物的環境要因を含む
たとえば、サバンナ生態系は、多様な動植物のような生物を含むだけでなく、土壌、水資源、日光、その他の物理的環境条件も含む
地球上の生態系のことで、すべての生態系の総和、もしくは、すべての生物とそれらが暮らす環境の総和のこと
生態学で最も複雑なレベルである生物圏は、数km上空の大気、地下1500mの水を保持している基岩、湖、河川、洞窟、震度数kmの海などを含む